心身に寄り添った新しい試み:Vitasolis™

これまで照明器具のLED化は主に省エネルギー化を目的として取り組まれてきましたが、近年、新しい取り組みとして光の質の改善に関心がもたれています。あかりに携わる当社は、光の質を改善することで、照明を通してどのように社会に貢献できるのか考えてまいりました。その答えのひとつが、人に寄り添った光を提案する『Vitasolis™』です。

人は光によって明るさや色を知覚するだけでなく、近年の研究で、特に青緑色域の光が朝に目が覚め、日中活発に活動し、夜に眠くなるというサーカディアンリズムを整えるきっかけをつくっていることが明らかとなってきました。

Vitasolisは、自然な白色でありながら、この青緑域の光を従来LED製品よりも多く含む(当社標準白色製品比、最大+14%)ことでサーカディアンリズムを整えるサポートを行います。

Vitasolisの人に寄り添った分光分布アプローチ

1. 生体反応への歩み寄り ~青緑色域(470-520nm付近)強化~

サーカディアンリズムは光を含むさまざまな刺激によって同期が保たれており、光に対する身体の反応は内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)である目の非像形成光受容体によって促進されます。ipRGC を通して、周波数および強度の高い光は覚醒を促進し、逆にその刺激がなくなると、エネルギー消費を減らして休息の準備をするようにという信号が身体に送られます。*

* International WELL Building Institute pbc and Delos Living LLC, 54 CIRCADIAN LIGHTING DESIGN, WELL Building Standard® v1 with Q1 2019 addenda.
* Duffy JF, Czeisler CA. Effect of Light on Human Circadian Physiology. 2009. Sleep Medicine Clinics, Volume 4, Issue 2, pp. 165-77.
* Ko CH, Takahashi JS. Molecular Components of the Mammalian Circadian Clock. 2006. Human Molecular Genetics, Volume 18, Issue 2, pp. R271-R277.
* Lucas RJ, Peirson SN, Berson DM, Brown TM, Cooper HM, et al. Measuring and Using Light in the Melanopsin Age. 2014. Trends in Neuroscience, Volume 31, Issue 1, pp. 1-9.
* Mistlberger RE, Skene DJ. Nonphotic Entrainment in Humans? 2005. Journal of Biological Rhythms, Volume 20, pp. 339-52.

このipRGCの光刺激に対する感度は、青緑色域でピークを持つことが知られています。*

図1. 人の網膜光受容体のスペクトル吸収(Spectral absorptance of human retinal photoreceptors.)


* Lucas,R.J et al., Trends Neurosci. 37, 1(2014)

また、加齢による水晶体黄変によって、青緑色域の光の透過率低下*が見られています。

図2. van de Kraats法によって計算された年齢ごとの人の目の透過スペクトル分布(Spectral distribution of the total transmittance of the ageing human eye computed via the methods of van de Kraats.)


* A Computerized Approach to Transmission and Absorption Characteristics of the Human Eye” CIE 203:2012 (incl. Erratum)

どの年齢の方に対しても寄り添った光を目指して、Vitasolisは、これらの既往研究を背景に、加齢によって透過率の低下が見られ、かつipRGCの感度が高くなる470-520nm付近の光成分の強度を従来の一般照明用製品よりも高めています。

2. 分光分布のブロード化

目の応答強度・速度は光刺激の分光分布が幅広い波長域にわたることで良化する報告があり、同応答性の改善は目の負担軽減につながる*とされています。
* K.R.Aggarwala et al., J. Opt. Soc. Am. A 12, 450(1995) (Gain and phase lag of eye accommodation as a function of the spectral bandwidth.)
* C. Kubo et al., J. Illum. Engng. Inst. Jpn. 98, 79(2014) (Decline rate of eye accommodation after the visual task as a function of the spectral bandwidth.)

これらの既往研究をうけて、ヒューマンセントリックライティングの取り組みの一つとして、当社がこれまで蓄積してきたスペクトル技術の視点を加え、独自の蛍光体配合技術を盛り込むことで青緑域成分の比率が多くても自然な白色に見えるVitasolisのスペクトルを提案しています。

図3. Vitasolisスペクトルの例

さらに、信州大学との共同研究では、Vitasolisで照らされた部屋で作業する人の心身の快適/ストレスを計測したところ、心理・生理面で疲労やストレスの軽減、および作業効率向上の傾向が見られています。*
* 内海彩子 他, 「分光分布の異なるLED照明が心身反応に与える影響」照明学会全国大会講演論文集,講演番号 ⑥-P12, 2018 ※5000Kの環境下で試験を実施。
他色温度製品については試験未実施。同分光分布の特徴を踏襲してスペクトル開発を行っています。

このような特徴から、オフィスや学校、病院などで、サーカディアンリズムの形成や生産性・学習性の向上といった目的で利用されることが考えられます。

今後、照明器具でも普及しつつあるIoTシステムとVitasolis / 従来のLEDを融合させ、たとえば朝・日中はより活発な活動を支える光環境、夜間は青緑色域の光が少ないリラックスできる光環境に制御するなど、真に人間に寄り添った光環境の創出が可能になると考えています。

U=開発中
N=新製品