2025.10.28
脱水銀社会の実現を推進する新規光源技術を開発 ― UV-LED水殺菌装置の大流量化に貢献 ―
日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市、社長:小川裕義、以下「当社」)は、深紫外LEDの新規光源技術の開発に成功しましたので、お知らせいたします。
当社は、脱水銀社会の実現を目指し、様々な光源の開発を続けてまいりました。環境変化に伴い、市場ニーズや課題も変化しており、それに対応した技術が常に求められています。特に、水銀ランプを置き換えるには、高出力・出力密度かつ優れた放熱性を備えた光源が求められています。当社は、半導体レーザー(LD)とLEDの両方を手掛ける数少ないメーカーであり、これまでに培ってきたプロジェクター用LDの高放熱パッケージ技術を応用し、高出力深紫外LEDチップと融合させる独自の発想を形にし、新たな光源技術を確立いたしました。それにより、出力密度は従来比で2倍、放熱性能についても約20%の改善を実現しています。
なお、三浦工業株式会社様(東京本社:東京都港区、代表取締役:米田剛 以下「三浦工業」)では、本技術を搭載した光源を用いた水銀フリーUV-LED水殺菌装置の開発に成功し、当社も三浦工業の量産化に向けて準備を進めております。この光源の特徴と三浦工業の高度な水処理技術およびノウハウを組み合わせることで、既に量産開始している10m3/hと同一の光源サイズで、処理水量は25m3/hへと大幅な向上を実現しました。
当社の光源を搭載した三浦工業の水銀フリーUV-LED水殺菌装置は、LED光源の進歩とともに、2024年の処理水量8m3/hは、2025年に10m3/hへと処理能力アップ、そして今回約2.5倍の25㎥/hへと大流量化が着実に進んでいます。今後も技術を進化させることで、水銀フリーUV-LED水殺菌装置の更なる大流量化、適用領域拡大に貢献してまいります。
また、新技術による光源の小型化により、装置自体のコンパクト化が可能となり、これまで設置が困難だった場所への導入も期待されます。単に水銀ランプの置き換えではなく、市場ニーズにもお応えでき、今後、露光や硬化、水殺菌以外の殺菌分野でも課題解決に貢献していけるものと考えております。
当社は今後も引き続き、より性能を向上させたUV LED製品の開発に注力し、さまざまな分野における脱水銀社会や脱炭素社会の実現に向けて、社会問題の解決に取り組んでまいります。
・L.E.S.(Light Emitting Surface/発光面)とは、LEDモジュールや光源から実際に光が放射される面積を指します。上の図ではオレンジ色の枠で囲んでおり、紫外線が放射される面積が半分になっていることを示しています。
・光源の配置はイメージです。
関連リンク:
当社のレーザーダイオード技術は、映画業界の発展に貢献したことを高く評価され、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences: AMPAS)よりアカデミー科学技術賞を受賞しております。
・アカデミー科学技術賞を受賞
・当社の高出力深紫外(280nm)LEDが、三浦工業様の水殺菌装置に採用されました
・水銀ランプの代替ならNICHIAのLED・LD
・水殺菌用途における低圧水銀ランプ(殺菌灯)の代替技術
三浦工業プレスリリース
・水銀フリー「UV-LED水殺菌装置」 業界最大処理水量25m3/hを実現
・高出力UV-LEDの進化で 水銀フリーUV-LED水殺菌装置が業界最大処理水量10m3/hを実現