ニュースルーム

TOP > ニュースルーム > 製品関連 > 欧州最大の応用研究機関、ドイツ、フラウンホーファー研究機構による調色照明ソリューションDynasolis™の効用に関する研究結果について

2022.9.22

欧州最大の応用研究機関、ドイツ、フラウンホーファー研究機構による調色照明ソリューションDynasolis™の効用に関する研究結果について

日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市、社長:小川裕義 以下「当社」)は、欧州最大の応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構(ドイツ、ミュンヘン)の建築物理研究所での実証試験により、当社の調色・調メラノピック照度照明ソリューションDynasolis™が、高色温度での注意力を高める効果などを中心に、従来の標準的なLEDの組合せによる調色ソリューションでは実現できなかったユニークな特徴を持つものであることが確認されたことをお知らせします。

今回フラウンホーファー研究機構建築物理研究所では、標準的LED(CRI 83+の2700K、4000K、6000K)と、Dynasolis™を2700K、6000K、10000Kに調色したものを比較する試験を行いました。Dynasolis™は、空色(シアン色)LEDと2700KのH6 LEDを組合せたものであり、2700Kではほとんど含まれないシアン光が色温度が高くなるほど多く含まれるという特徴を持ちます。一方、標準的LEDでは、どの色温度でもシアン光はほとんど含まれません。試験内容は、約35名の被験者に対して、異なる色温度とスペクトルの認知および心理的効果を分析したもので、光がどのように即応力、注意力、またリラックス度に影響するかも評価されました。

今回の実証試験の結果をまとめると以下のようになります。
① 注意力を高める効果については、6000Kでの比較試験においてDynasolis™の明らかな優位性が示されました。また、同じDynasolis™でも6000Kよりも10000Kに調色した場合の方が、更に良い結果が示され、Dynasolis™の特徴であるシアン光の効果が確認されました。
② 4000Kよりも6000Kの場合の方が即応力が高いという結果が示され、即応力に対する色温度の直接的影響が確認されました。
③ 4000Kから2700Kに調色した場合に、リラックス度が高まるという結果が示されました。

②と③は、Dynasolis™と標準的LEDに共通した結果で、特にDynasolis™の優位性を示すものではありませんが、調色照明の有用性を証明するものであり、①で示されたシアン光とDynasolis™の提供する調メラノピック照度の有用性と合わせて、Dynasolis™が、日常生活の様々なシーンにおいて人体に有効な効果を与えるユニークな調色照明ソリューションとなり得ることが確認されたものと言えます。

実験の詳細な内容は以下になります。


図1. フラウンホーファー研究機構建築物理研究所の実験デザイン

注意力検証試験では一般的に使用されるストループ・タスクが実施され、標準的LEDとDynasolis™の注意力への効果の違いを検証し、Dynasolis™とその特徴であるシアン光の効果が確認されました。本試験では、被験者は、例えば赤色で書かれた「緑」という文字を読み上げることを求められましたが(正解は「赤」)、6000KのDynasolis™にて本試験を行った際、同じ色温度でシアン光をほとんど含まない標準的LEDと比べて、被験者の応答時間がはるかに短いという結果が得られました(図2)。また、同じDynasolis™であっても、シアン光を多く含む色温度とそうでない色温度で明確な違いが見られ、6000Kより10000KのDynasolis™の方が被験者の応答が早いという結果でした。


図2. 注意力検証結果(ストループ・タスク)

また、AuReTim法に基づく即応力検証試験では、Dynasolis™であるか標準的なLEDであるかに関わりなく、色温度が即応力に直接影響することが確認されました。本試験では、被験者はヘッドフォンから流れるビープ音に対してボタンを押すことを求められましたが、6000Kの方が4000Kと比べて即応力が高いという結果になりました。 

次に、低い色温度でのリラックス度に関する試験では、被験者にはまず4000Kの標準的LEDの部屋に入ってもらい、5分間その光に慣れてもらった後、認知タスクを行うことで被験者を7分間ストレス環境下に置きました。被験者のストレスレベルはPANAS(ポジティブ・ネガティブ感情スケジュール)によって評価されました。次に、新たな照明条件(Week 1は2700Kの標準的LED、Week 2はDynasolis™ 2700K)にて5分間リラックス期に入った後ストレスレベルを再評価したところ、標準的なLEDおよびDynasolis™ともに2700Kの方が4000Kよりもリラックス度が高いという結果が得られました。

フラウンホーファー研究機構建築物理研究所で得られたこれらの試験結果は、Dynasolis™を用いた照明ソリューションの利点をはっきりと示しています。Dynasolis™は、色温度とメラノピック照度の両方を調整し、含有するシアン光の量を変えられるというユニークな特徴によって、一日の生活の中の異なる場面で照明に求められるものに対して、標準的なLEDを使用した調色照明ソリューションでは得られなかった結果をもたらすことができます。

とりわけ、高色温度での注意力検証試験では、Dynasolis™下での被験者の反応時間に飛躍的な改善が見られました。このことは、低色温度でのリラックス度に関する結果と合わせて、Dynasolis™の幅広い用途での利用に道を開きます。例えばホテルなどでは、Dynasolis™の照明によって、一つの部屋を、仕事をするのに最適な空間にも、一日の疲れを癒す空間にもすることができます。

今回、世界的な応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構建築物理研究所での実証試験で得られた結果も当社の考えが間違っていなかったことを示しておりますが、Dynasolis™は、シアン光が人体に与える影響にフォーカスし、真のヒューマン・セントリック・ライティングとは何かということを考え抜いた結果として当社がたどり着いた、調色・調メラノピック照度を同時に行う新しい時代の調色照明ソリューションです。当社は、Dynasolis™が次の時代の調色ソリューションの標準となり、人々の生活を豊かでより健康的なものにする一助となることを願っています。

なお、今回、Dynasolis™に関するWhite Paperを当社ホームページ上で公開しました。ヒューマン・セントリック・ライティング、Dynasolis™の特色、また本実証実験に関する詳しい情報についても記載しておりますので、ご参照ください。

Dynasolis™の詳しい情報はこちら